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■『戦旗』1675号(3月5日)3面 3・24千葉地裁包囲行動、 3・30天神峰現地に結集し 市東さんの農地を守り抜こう 三里塚芝山連合空港反対同盟が3・24耕作権裁判判決への結集、そして、3・30天神峰現地闘争への決起を呼びかけている。 成田空港会社の不当な提訴から一八年、市東さんの南台農地をめぐる判決が出されようとしている。司法権力が農地強奪に荷担する不当判決を絶対に許してはならない。反対同盟とともに今春三月の攻防を闘い抜こう。農地を守り抜き、軍事空港建設を阻止していこう。 農民の正義を貫いて耕作権裁判闘争に勝利しよう 農地強奪判決を許すな 市東孝雄さんの南台農地をめぐる耕作権裁判が、千葉地裁で一八年間争われて、昨年九月に結審した。本年に入って判決日が決まり、三月二四日とされた。耕作権裁判は、成田空港会社が二〇〇六年に市東さんの南台の畑での営農を「不法耕作」だと一方的に決め付け、農地の「明け渡し」を求めた不当な訴訟である。 耕作権裁判の過程で、空港会社側は、孝雄さんの父東市さんが「署名捺印」したとする「同意書」「境界確認書」を「証拠」として提出した。しかし空港会社は、成田空港公団時代にこの文書を作成した記録を提出することを拒み続けてきた。裁判所の命令をも拒否してきた。その結果、空港会社側の文書は「証拠」としての価値を失った。 現在の成田空港会社も「民営化」されながら国が株式を全て保有する国営の企業であるが、かつての空港公団は旧運輸省直轄の組織であった。公団職員は公務員と同等の職務を行っていたのであり、用地取得問題の記録が存在しない訳はないのだ。 市東孝雄さんをはじめ反対同盟が指摘し続けてきたことだが、東市さんが成田空港公団の要請に応じることはありえない。これらの文書の作成記録を提出できないことは、空港公団―空港会社が、文書偽造を認めたのと同義である。 空港会社は、立証を断念した「証拠」に基づいて、市東さんの「耕作地」を勝手に決め付けてきたがゆえに、「明け渡し」を請求した土地の特定そのものを間違えている。それだけでも、民事裁判として成立しない。本来棄却されるべき訴訟だ。 市東さんの正義 市東孝雄さんは耕作権裁判で「不法耕作」者とされてきた。しかし、真実を貫いて裁判闘争を闘い抜いてきた。昨年九月三〇日の最終弁論においては、市東さん本人が意見陳述を行なった。 東市さんの遺言書の「空港公団等に農地を絶対に売り渡さない」を受け継いで、天神峰に戻って農業を続けてきたことを明らかにした上で、この裁判の核心点に対する意見を述べた。東市さんが自分の土地を間違えて署名、捺印するはずはないこと、そして、東市さんも孝雄さんも地主との間で契約した土地を耕し続けてきたことをはっきりと述べた。市東さんは自らの無農薬・有機栽培の野菜づくりの農業について自信をもって語り、「農地は命」ということをはっきりと主張した。 二〇二三年二月、農地法裁判と異議審裁判の反動判決の結果として天神峰農地の強制執行が、機動隊の暴力をもって、しかも夜間執行で強行された。市東さん自身と反対同盟、支援連、全国から駆けつけた仲間が実力阻止攻防を全力で闘った。 空港会社はこの農地強奪を強行しながら、何も使ってはいない。市東さんを離農させようとする攻撃以外の何ものでもない。市東さんは、作業場など営農に必要な施設を破壊撤去された状況から、もう一度営農施設を建て直し、営農の根拠を再建した。空港会社のもくろみを見事に粉砕して、生き生きと農作業に励んでいる。市東さんが天神峰で生活し営農し続けることこそが、軍事空港建設を阻み、空港会社の利害に真っ向から対決している。 本年年頭の反対同盟団結旗開きにおいて、市東孝雄さんは、「私一人の力では何もできないんです。皆さんの団結の力で、私の農地も守られています」と述べている。実直に農業を続けること。反対同盟と三里塚勢力の団結の力。これをもって国家権力と対決して闘いうること。市東さんの表明したことは、営農と裁判闘争、そして現地実力闘争の中で、市東さん自身がつかみとってきた確信であるだろう。 耕作権裁判の正義は、農民―市東孝雄さんにある。千葉地裁民事第二部(齋藤顕裁判長)に、農地強奪判決を出させてはならない。3・24千葉地裁に断固結集しよう! 空港機能強化阻止! 34万回発着強行許すな 空港機能強化工事 空港会社は、B滑走路再延伸(三五〇〇メートル化)の準備工事を二二年秋に、第3滑走路(三五〇〇メートル)建設の準備工事を二三年末に、着手している。空港機能強化工事全体は、現成田空港敷地一一九八ヘクタールの約二倍の二二九七ヘクタールに拡張するという計画で、空港会社は二〇二九年三月に完成させるとして工事を強行している。このために、空港用地として新たに七四三ヘクタールを買収する計画だが、それだけではない。滑走路が南北に長く延びる空港になり、新たに長大な騒音区域が作り出されるのだ。 空港会社は一月二三日、二つの滑走路の準備工事を、報道陣に公開した。 年間発着枠三四万回への引き上げ 空港会社は現行の年間発着枠三〇万回を、空港機能強化工事の完成後には五〇万回に引き上げるとしてきた。しかし、本年年頭、突如として年間発着枠を本年一〇月にも三四万回に引き上げる方針であることが報じられた。空港会社はすでに千葉県と空港周辺九市町の首長に対して説明を行っていた。 一月二四日、空港会社と国土交通省、千葉県、空港周辺九市町の四者協議会が開催され、成田空港の年間発着枠を本年一〇月から三四万回に引き上げることが了承された。千葉県知事・熊谷は「アジアの空港競争に打ち勝っていくために、周辺地域の発展のためにも必要不可欠だ」と述べて、発着枠増大方針を全面的に支持した。 すでに、東アジア地域の空港の国際線旅客数で成田は、香港、仁川(韓国)、桃園(台湾)に追い抜かれている。成田空港会社は、空港機能強化で、滑走路三本化と深夜早朝の飛行停止時間の短縮をもって、二〇二九年に発着枠五〇万回に増大する方針だ。しかし、それまでは、アジアの空港間競争に追いつけないという焦りから、空港会社と地元ブルジョアジーどもが現状の滑走路で三四万回への引き上げを画策したのだ。 現状の二本の滑走路で年間発着枠三四万回に引き上げるとなれば、その分だけ航空機騒音が増すことになる。しかも、無理やり増大させるがゆえに、現行の深夜・早朝時間帯での増便を強行することになる。空港機能強化工事の本格化を前にして、航空運輸業と物流産業の資本の利害のみを重視し、住民の生活破壊を早めようとする攻撃だ。 「新しい成田空港」構想 成田空港会社は、空港機能強化工事「完成後」の次の方策として「新しい成田空港」構想なるものを打ち出している。 滑走路三本化の工事を進めてはいるが、一九六六年当時の計画からは変更し、その場しのぎで暫定滑走路、その延伸、再延伸、そして第三滑走路と継ぎ足してきたがゆえに、誘導路もターミナルビルも継ぎ足しで複雑な形状になってしまっている。管制官の勤務にも影響を及ぼしている。滑走路建設―拡張工事の後には、複雑化したターミナルを「集約型ワンターミナル」に建て替えるという構想である。一方で国際航空貨物のための「新貨物地区」建設も目論んでいる。 この「新しい成田空港」構想は、空港のみならず、空港周辺の再開発を一挙に進めようとするものである。空港につながる道路整備として、高速道路は東関東自動車道に加えて、圏央道を成田空港の拡張部分に接続させる構想だ。千葉県は昨年九月、「成田空港周辺における道路整備計画」を策定し、二九年三月を目標として成田市周辺の道路整備を進める方針を明らかにしている。昨年一二月には、成田空港を核とした国際的な産業拠点形成の「基本計画」の変更を行った。成田空港周辺に集積する産業を、物流に加え、精密機械、航空宇宙、健康医療、農業、観光、とした。 空港機能強化に加え「新しい成田空港」構想を打ち出している空港会社だが、その実態においては人材不足が深刻になっている。コロナ禍で航空需要が蒸発するように失われた段階で、急激な人員削減がなされた。その結果、空港の地上業務を行う人員の不足に直面している。四万人以上だった空港従業員が三万六〇〇〇人にまで落ち込んだ。現在は四万人近くまで回復したとしているが、それでも人員不足である。空港機能強化後には七万人の従業員が必要だとしており、空港会社は人員確保に躍起になっている。 空港会社は人材確保に向けて、成田空港での見学会、幕張メッセでの合同企業説明会を重ねて開催して求職希望者を集めようとしている。「働く、暮らす、成田空港」なるホームページまで開設している。空港会社と日航、全日空、地元行政機関による「成田空港活用協議会」は、高校生を集めての体験教室を開催し、周辺地域からの「人材育成」に力を傾注している。 周辺地域への廃村化攻撃 成田空港会社はB滑走路延伸工事、第3滑走路建設工事を報道陣に公開しているが、この工事に伴ってなされようとしていることは、周辺地域の廃村化攻撃だ。 第三滑走路建設によって、芝山・多古で約二〇〇戸が移転の対象となっている。しかし、それだけではない。B滑走路延伸と第3滑走路建設によって南北に大きく拡張される空港は、新たな騒音区域を大規模に作り出す。騒音区域拡大による移転対象は、成田・芝山・多古・横芝光で約一〇〇〇戸とされている。 成田空港会社は、空港と地域の「共生」を掲げるが、全くの欺瞞である。空港機能強化によって一二〇〇世帯、数千名が、今まで住み続けてきた土地から追い出されようとしているのだ。 しかも、「新しい成田空港」構想では、成田空港を中心に地上の交通網の整備をなそうとし、空港に関連した物流などの産業拠点を形成しようとしている。これまでの千葉県北総地域の農業、農村を破壊しつくし、空港と航空運輸業で働く労働者が居住する地域として再編することを企図している。 空港会社が「新しい成田空港」構想で主張する「エアポートシティの実現」とは、周辺地域で今生活し働いている農民、住民の叩き出しである。まさに廃村化攻撃だ。絶対に許してはならない。 石破政権打倒! 軍事空港粉砕の闘いを 石破政権は少数与党政権とはいえ、戦争準備―改憲は推し進めている。石破は、米帝―トランプに擦り寄って、日米軍事同盟を強化し、さらには日米韓軍事同盟を具体化させようとしている。中国、朝鮮民主主義人民共和国に対する排外主義を強め、中国包囲の軍事戦略をさらに進めようとしている。日帝こそが、東アジアの軍事的緊張を高めているのだ。 「台湾有事」を煽って、辺野古新基地建設、そして沖縄、九州から関西にいたる自衛隊基地の強化、ミサイル弾薬庫の新増設をもって、戦争準備を強めている。敵基地攻撃能力保有―実質改憲を着々と進めている。今春、自衛隊に統合作戦司令部を新設し、戦争に具体的に対応できる体制を構築しようとしている。 戦争準備―改憲を進める政権からすれば、自衛隊基地だけが軍事施設なのではない。現代の戦争が総力戦である以上、戦争となれば、これまで軍民共用とはされてこなかった空港、港湾も、軍事優先で動員されることになる。国内のすべての空港を「軍事空港」として位置づけることは当然だ。 航空需要は増大し続けるという予想で第3滑走路を建設し、成田空港を拡張する。「民営化」した空港会社だとしながら、この空港機能強化工事も、その後の「新しい成田空港」構想も、その建設費用は国が負担する。それは、経済的な要衝として国家的に位置づけるというだけではない。現代の戦争における重要な軍事施設建設であるがゆえの国家的事業なのだ。 農地死守―実力闘争、軍事空港粉砕を貫いてきた三里塚闘争は、現在の日本階級闘争において重要な意義を有している。市東さんの農地を守り抜き、空港建設を阻止していく今春期の攻防を断固闘い抜こう。 3・24千葉地裁包囲デモ、3・30天神峰現地闘争を全力で闘い抜こう。 |
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